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ヤマトの章 6 魂の行方 3

last update Terakhir Diperbarui: 2025-05-29 10:35:53
「ウウ~ッ!」

歩道橋迄駆け上り、低い唸り声をあげて追い詰める僕。その時だ。

「ヒイイ! ば、化け物!」

男が僕を見て叫んだ。

化け物? この僕が? でも僕の全身から赤い炎のようなものがユラユラ揺れているのが見えた。まさに炎をまとった化け物だ。

「や、やめろ! 来るなああーっ!!」

男は絶叫すると足を踏み外し真っ逆さまに階段から転げ落ちた。僕は上から見た男の様子を見ると不自然に手足が折れ曲り、地面にゆっくりと赤い血が流れだしてくるのが分かった。

「キャーッ!!」

「大変だ! 人が落ちたぞ!!」

下では大騒ぎになっている。誰かが歩道橋の上にいる僕を指さした。

「あの犬だ!あの犬がこの男性を突き落としたんだ!」

「保健所に連絡だ! 捕まえないと!」

このままではまずい。千尋と引き離されてしまう。僕は反対側の歩道橋を駆け下りて必死で走った。捕まったら駄目だ! 滅茶苦茶に走った、その時――

目の前に眩しい光と共に1台の車が突っ込んできた。

ドンッ!!

激しい衝撃が僕を襲った。身体が宙を舞い、地面に叩きつけられた。余りの痛みに全身が悲鳴を上げている。倒れた僕の周りに人々が集まってきた。僕を轢いたらしい、車の運転手が車から降りて来るのが分かった。

「あの……突然犬が飛び出してきてしまって、ついうっかり轢いてしまいました」

集まっている人達に説明しているようだ。

「いや、いいんだ。この犬はさっき人間を襲ってたんだよ」

「いずれにせよ、保健所に連れて行かれて殺処分されてただろうさ」

「とりあえず、保健所に通報するか……」

段々人々の声が遠くなっていく。

ああ……僕はまた死んでしまうのだろうか。千尋を残して……。

その時、自分の身体から魂が抜けだすのを感じた。いつの間にか僕は空中を漂い、血まみれになって倒れている僕自身を見下ろしていた。嫌だ、このまま千尋と会えないまま死ぬなんて。せめて千尋を一目見てからこの世を去りたい。

僕はフワフワ漂いながら千尋の家を目指した。その時——

同じようにフワフワと漂っている魂を発見した。僕は急いでそこへ向かって飛んでいくと、その魂はあるマンションの一室から糸の付いた風船のように浮かんでいた。迷わずその部屋に入ってみる。すると一人の若い男性が横たわっていた。部屋の中は何も無く、ただ側には空き瓶が転がっているだけ。まだ彼の身体と魂はかろうじ
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